スマートフォンやSNSの普及によって求職者は容易に求人情報を手に入れられるようになり、企業はより自社の魅力や優位性をアピールしていくことが求められています。
昨今の求人倍率の高まりから今後は求人ナビサイトに掲載する、いわゆる「待ちの採用」だけでは欲しい人材と出会える確率も下がっていくでしょう。
そんな中、注目されているのが「オファー型採用」。特定のサービスやWebサイト上に掲載された求職者のプロフィールや実績などをもとに、企業が直接アプローチをする採用手法です。本記事では、オファー型採用の概要とメリット・デメリットについて解説します。
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目次
オファー型採用とは?
オファー型採用とは求職者が特定のサービスやWebサイト上、またはイベントなどで開示したプロフィールやスキルなどを参考にして、直接企業が求職者にアプローチをする採用手法です。求職者が求人サイトに訪問し、気になる求人に応募する方法とは立場が逆になるため「逆求人型採用」と呼ばれることもあります。
オファー型採用(逆求人型採用)とダイレクトリクルーティングの違い
ダイレクトリクルーティングは、その名のとおり求人媒体や人材紹介会社などを仲介せずに、企業が求職者に直接アプローチする採用手法のことです。そのため、オファー型採用もダイレクトリクルーティングの一種に含まれます。狭義的には、「ダイレクトリクルーティングサービスを使った採用」という意味合いで用いられることもあります。
オファー型採用が注目される2つの理由
オファー型採用を提供するサービスは年々増加しており、「新卒向け」「中途向け」だけにとどまらず、「理系採用」「エンジニア採用」「ゲーム業界」など、一部の業種や職種に特化したサービスも見受けられます。
これほどまでに、オファー型採用やダイレクトリクルーティング市場が加熱しているのはなぜなのでしょうか。その背景には大きく2つの原因が考えられます。
1.労働人口の減少
まず1つが少子高齢化による労働人口の減少です。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、2030年には人口のおよそ三分の一にあたる3,715万人が65歳以上の高齢者となり、2015年の26.6%と比べるとわずか15年で5%も増加していることがわかります。
参照:日本の地域別将来推計人口(平成 30(2018)年推計)
また2022年に総務省が行った統計によれば、生産年齢人口の割合は全人口の59.4%で、統計開始の1950年以来、もっとも低い数値となっています。
このまま労働人口が減少すれば採用市場における「売り手市場」はますます加熱し、優秀な人材の獲得競争が激化するでしょう。ただ待っているだけの広告型の採用だけではなく、企業自ら人材にアプローチするダイレクトリクルーティングのような採用方法が重視されるようになるのは必然とも言えます。
2.利便性の高さ
もう1つが利便性です。求職者はプロフィールや経歴を入力しておけば、企業からのオファーが届くのを待つだけで済み、また企業側は獲得したい求職者へダイレクトにアプローチができるため、双方とも効率的な就職活動・採用活動を実現できるようになります。
オファー型採用の3つのメリット
オファー型採用のメリットは大きく以下の3つに分けられます。
1.転職潜在層にアプローチができる
転職潜在層は、転職の意欲はあるものの積極的に転職活動をしていない人、または現時点で転職の意志がない人を指します。転職潜在層は求人サイトに登録していても、積極的に応募をすることはありません。特に、優秀な人材はヘッドハンティング、またはリファラル採用などで転職先が決まってしまうことが多く、積極的にアプローチをしない限り出会うことが難しいです。オファー型採用であればこの転職潜在層にアプローチできます。
2.効率的な採用活動が行える
ピンポイントに気になった人材にアプローチができるため、ターゲットではない求職者への連絡対応や書類チェック、面談日程調整などを行うことなく、より効率的な採用活動が可能となります。
3.知名度や企業規模に左右されない
求人情報サイトやエージェントは掲載費用や紹介料がかかるため、知名度や予算などリソース面が豊富な大手企業が有利な状況となります。
しかし、オファー型採用ならダイレクトにアプローチが可能となるため、自社の魅力や独自性をアピールできれば知名度にかかわらず、応募や面談などにつながる可能性があります。
オファー型採用の3つのデメリット
オファー型採用は知名度のない会社でも優秀な人材を採用できる手法の1つですが、反面デメリットもあります。
1.効果が出るまでに時間がかかる
オファー型採用のサービスを導入したからといって、すぐに効果が出るわけではありません。そもそも、ターゲット設定が適切でなかったり、ターゲットにマッチしていないメッセージを送っていたりしたら、良い人材や欲しい人材と出会えない、出会えたとしても採用につながらないといったことが起こります。PDCAを回しながら、精度を高める必要があります。
2.工数がかかる
オファー型採用では求職者のリストアップや絞り込み、オファーメールの作成・返信対応、面談の調整、オファーメールの開封率や返信率の分析など、一定の工数がかかります。採用担当者が少数、または他の部門と兼任で行っている場合は、それ相応のリソースが割かれることを認識しておく必要があるでしょう。
3.大量採用には不向き
オファー型採用は、専攻やスキル、地域など、ある程度条件を絞り込んで採用する場合には非常に有効です。ただし、1人に対して時間をかけてアプローチをする分、大量に人材を採用したい場合は工数が大きく負担になるため、あまり向いていません。
オファー型採用を成功させるポイントとは?
最後に、オファー型採用を成功させるポイントについて、「core scout(コアスカウト)」のこれまでの運用経験をもとに解説します。
発信方法・ツールを選定する
発信媒体やツールは、「1.対象ターゲットが含まれている数」「2.競合数」「3.使いやすさ」の3つの観点から選ぶと良いでしょう。この中で特にチェックしておきたいのが「1.対象ターゲットが含まれている数」です。例えば、必須要件として、
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- プログラミング言語:Python、JAVA
- 開発環境:AWS
- 経験年数:5年以上
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などを挙げている場合、これに該当する求職者がいないと、そもそもオファーを送れないため、事前に媒体側に確認しておく必要があります。
関連記事:https://mag.core-scout.com/howto/220629-1
採用ターゲット・ペルソナを明確にする
まず、採用したい人材のターゲット・ペルソナを決めましょう。ペルソナの構築にあたっては「必要なスキルセットは何か」「その方は今の仕事にどのような不満や不安を抱えているか」の2点を中心に掘り下げます。
採用ターゲットやペルソナを決めることで「誰に向けて発信すれば良いか?」など、オファー型採用に取り組む上での方向性を決定できます。
採用ターゲットやペルソナを適切に設定する方法については以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事:https://mag.core-scout.com/howto/230622-1/#i
自社の魅力や強みを整理する
採用ターゲットやペルソナが固まったら、次に自社の魅力や強みを整理します。このとき注意したいのが「ないものを、まるであるかのように盛ってしまうこと」。これをしてしまうと、入社前後でのギャップが大きくなり、離職のリスクが高まる恐れがあります。採用ターゲット・ペルソナを念頭におきながら、会社の「どこの部分をどう表現するか」が非常に大切といえます。
特別感のあるメッセージを作成する
オファー型採用で肝となるのがオファー文です。誰に対しても送っていると受け取られるようなオファー文はもちろんNGです。特に優秀な求職者には、競合他社からもたくさんのオファーメールが届きます。
タイトルに数字や独自性を入れて「惹き」を作り、まずは読んでもらう工夫をすること、そしてオファー文の内容については、とにかく簡潔に、そのターゲットに刺さる言い回しや内容をチョイスすることを意識しましょう。
より詳しいオファーメールの書き方についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事:https://mag.core-scout.com/howto/221028-1/
また、core scoutでは、魅力的なスカウト文章を簡単に作成できるように、ノウハウを凝縮したテンプレートを作成しました。詳細が気になる方はぜひ以下からダウンロードください。
開封率や返信率の分析・改善を行う
オファー型採用では、実施した施策の効果を検証し、改善するサイクルを常に回し続けることが肝心です。下図のように、送付数・開封率・求人閲覧率・求人閲覧後の返信率・スカウトメールの返信率・応募率の順番で指標をみていきましょう。
例えば、この図に当てはめて考えると「開封率は高いけど、求人閲覧率が低い」場合にはオファー文に改善の余地があると推測できます。また「求人閲覧率が高いのに、閲覧後の返信率が悪い」場合は求人文に課題があると認識できます。
より詳しい運用方法については以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事:https://mag.core-scout.com/howto/221028-1/
オファー型採用に欠かせないサービス7選
私たちがこれまで実際に使用した中でおすすめのオファー型採用サービスをご紹介します。
1.ビズリーチ
「ビズリーチ」は、年収1,000万円以上の求人が3分の1以上を占めるハイクラス転職サイトです。
30〜40代の中堅マネジメント層が多く登録し、個人登録する際に審査が必要なため、休職者の入力情報が豊富です。
また、登録ヘッドハンター数が4,600人とスカウトに特化したサービスで、企業以外にも多数のエージェントがデータベースを利用しています。
ビズリーチについてのサービス詳細、運用方法はこちらの記事に詳細をまとめています。ぜひご覧ください。
関連記事:https://mag.core-scout.com/media/230305-1/
2.Green
「Green」は、IT/Web業界に特化した転職サイトで、求人の掲載期間・掲載数が無制限、求職者へのアプローチも無制限(スカウト送信は月200通まで)の、成果報酬型ダイレクトリクルーティングサービスです。
スカウトは、「スカウト」「気になる」「会いたい」の3種類があり、求職者の反応を見たうえでアプローチできます。
3.Forkwell
「Forkwell jobs」は、IT・Webエンジニアに特化した転職サイトで、企業とエンジニアの接点となる、エンジニアのためのキャリア・スキルアップを目的としたイベントやセミナーも主催しています。
一斉配信機能を排除したスパム無しのダイレクトスカウト機能や、スカウトメッセージは500文字までという返信率を高める施策も行われています。
4.Wantedly
「Wantedly」は、給与などの条件ではなく、会社が掲げる「想い」への共感を通じて求職者とのマッチングをはかるサービスです。
学生に対してスカウトが送れるだけでなく、ブログによって企業の魅力を発信でき、募集を出すことで学生からも企業へアプローチできるのが特徴です。
6ヶ月30万円から求人を掲載することができ、求人の掲載数に制限がなく成果報酬もないため、他の媒体や手法よりも採用単価を抑えることができます。
関連記事:https://mag.core-scout.com/media/20231229-04/
5.LAPRAS
「LAPRAS」は、エンジニアに特化したポートフォリオ自動作成ツールで、技術情報共有サービスやSNSなどのオープンデータから利用者のプロフィールを自動生成、評価してくれるサービスです。
転職可能性がある求職者をアラートで知らせてくれる機能があり、企業側はタイミングを逃さずにアプローチできる仕組みになっています。
LAPRASについてのサービス詳細、運用方法はこちらの記事に詳細をまとめています。ぜひご覧ください。
関連記事:https://mag.core-scout.com/media/230318-2-2/
6.Findy
「Findy」は、ハイスキルなエンジニアと企業をマッチする転職サービスです。
登録者のGitHub開発履歴をもとに、AIが企業とのマッチングやスキル判定を行います。
また企業ごとに担当が付き、求人票やスカウトの改善まで幅広いサポートを行ってくれるのも特徴です。
Findyについてのサービス詳細、運用方法はこちらの記事に詳細をまとめています。ぜひご覧ください。
関連記事:https://mag.core-scout.com/media/230318-2/
7.転職ドラフト(DRAFT)
「転職ドラフト(DRAFT)」は、登録者のプロジェクト経験やスキルをもとに、企業が年収付きの指名を行う、IT/Webエンジニア専用の競争入札型転職サービスです。
登録には審査があり、レジュメには開発技術の詳細内容、課題解決までのアプローチ方法からマネジメント能力など細かい項目が記載され、審査合格率は約4割と厳しめになっていることから、優秀なエンジニアが多数存在しています。
関連記事:https://mag.core-scout.com/media/20231229-01/
8.YOUTRUST
「YOUTRUST」は、友人もしくは「友人の友人」という近いコミュニティの中で、副業・転職をしたい人と企業がつながるキャリアSNSです。
現時点で副業・転職に興味がない人でも気軽に登録でき、転職や副業意欲が更新されたタイミングで通知が来るため、最適なタイミングでアプローチできます。
登録者の95%がIT業界人材、70%が正社員かつ転職希望者、79%が副業希望者となっています。
YOUTRUSTについてのサービス詳細、運用方法はこちらの記事に詳細をまとめています。ぜひご覧ください。
関連記事:https://mag.core-scout.com/media/230530-1/
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