母集団形成において、極めて大きな役割を持つスカウトメール。特に採用難易度の高いエンジニアやハイクラス層を採用したい場合は、欠かすことができない採用チャネルです。
そんなスカウトメールの効果を高め、また、効率的に運用するうえで重要なのが、スカウトメールの文面をテンプレート化して管理することです。
今回は、エンジニア採用に特化して数々の企業のスカウト支援を行ってきた「core scout」が編み出した、スカウトテンプレートの管理ツールを無料で配布します。また、それに関するスカウトテンプレートの使い方や、エンジニア採用におけるスカウトでより実績を上げるための考え方やコツについて紹介します。
目次
スカウトメールの作成において気をつけること
簡潔な文章を書く
「とても」「すごく」など抽象度の高い言葉を多用したり、同じ意味の言葉を繰り返すことなく、メッセージはできるだけ簡潔にするのがよいです。そうすることで、スカウトメールを通じて求職者に届けたいメッセージの「純度」を高めることができます。
特にエンジニアに対するスカウトメールの場合は、伝えたいことを簡潔かつ的確に伝えることをより一層意識しましょう。優秀なエンジニアは、業務で必要なことだけを簡潔にまとめたコードや文章を書くことを意識しているはず。そんな彼らに冗長な文章を送ってしまうと、魅力を感じてもらえないだけでなく、マイナスなイメージを持たれてしまうかもしれません。だからこそ、端的でわかりやすい文章を心がけましょう。
自分の言葉で自社の魅力を語る
どこの会社でも当てはまることや、独自性が乏しい内容は避けた方がベターです。
「これってどこでもそうじゃない?」と感じてしまうと、その段階で候補者は会社への興味を無くしてしまいます。
また、魅力を語る際の言葉選びにも注意が必要。たとえば「働きやすい職場」などのよく使いがちな言葉です。具体的にどんな制度があるから働きやすいのかや、働きやすさを実現できている理由などを自身の言葉で盛り込みましょう。
正しい日本語で書く
誤字脱字はもちろんですが、単語の誤用や文法的な誤りがないかの確認を徹底しましょう。
スカウトメールの内容がどんなに魅力的であったとしても、正しい日本語が使えていないと「この会社大丈夫かな」と思われてしまい、それだけで印象が悪くなってしまいます。
特に慣用句は、誤認しがちなので注意が必要です。
たとえば、世間の注目を集めることを指す「脚光を浴びる」という言葉。「脚光を集める」と誤用されているケースが散見されます。
こうした間違いをしないよう、送信前の確認を徹底しましょう。
スカウトメールをテンプレート化することの意義と管理方法
スカウトメールは(1)タイトル (2)テンプレート箇所(3)カスタマイズ箇所 の3要素で構成されています。
これらすべての要素を満たしたうえで、テンプレートを活用していくことがおすすめです。
「カスタマイズ箇所もテンプレート化するの?」と思われた方もいるかもしれません。
しかし、カスタマイズを含めてきちんと型化して管理しておくことで、スカウトの効率性をグッと高めることができます。
カスタマイズ箇所は、「あなたの〇〇なところに魅力を感じました。そして当社の●●な点はあなたの希望と合っていると感じています」といった流れで作ることが多いです。
この後半部分を一定程度テンプレート化していくのです。
具体的には、「裁量権重視」「ワークライフバランス重視」など候補者の特性に合わせて訴求する内容をパターン化しておきます。そしてそれを組み合わせたり候補者に合わせて調整したりしながら、カスタマイズ箇所の半分を作っていきます。
また、タイトルやテンプレートの箇所を管理するメリットは、効果検証をして改善がしやすくなること。
テンプレートはほとんどの媒体でサービス内にも保存できますが、あまり作りすぎてしまうと、探すのが煩雑になるだけでなく、間違ったテンプレートを使ってしまう可能性が出てきます。採用職種が多い場合はなおさらです。きちんと別のツールで管理しておくのがベターでしょう。
管理する際は、必ずいつから使用しているテンプレートなのかを記載しておきましょう。また、文言を一つ変えた程度の微細な変更だとしても、新しいテンプレートとして保存します。
こうしてこまめに記録しておくことで、テンプレートをどう変えれば返信率や返信内容がどんな風に変化するのかを明確に知ることができます。そして採用ナレッジの蓄積にもつながるのです。
カスタマイズの考え方
前章で、カスタマイズ箇所には一定程度パターン化できる部分もあると紹介しました。一方で、パターン化することのできない箇所も存在します。ここでは、そうした箇所をカスタマイズする際の考え方をお伝えします。 まず最初にNG例を紹介します。
ReactやTypeScriptを用いてのフロントエンド開発経験をお持ちの点に惹かれてご連絡いたしました。 |
この文章は、誰でも書けるような内容だけにとどまってしまっています。これでは、カスタマイズしていないのとほぼ同じ。候補者にテンプレート的な印象を与えてしまいます。
では、どのように文章を作ればいいのでしょうか。候補者に響くカスタマイズをするには、経歴から読み取れる技術力や志向性をもとに、以下の2つの要素を明らかにする必要があります。
- 「候補者がどんな人か」の仮説
例)フロントエンド開発スキルをベースに、バックエンドやインフラまで幅広く開発に携わっており、プロダクト開発において横断的に携わることを希望されているのではないか。
- 自社にマッチしている理由
例)開発チームは1チーム4-6名ほどでアジャイルでサービス開発を行っており、質とスピードの両方を担保できる体制になっている。役割を固定せずに領域横断で開発を行うことも多いため、弊社の環境ともマッチするのではないか。
この2つの要素をつなげて整理すると、以下のような文章を作ることができます。
ReactやTypeScriptを用いてのフロントエンド開発経験をお持ちの点に惹かれてご連絡いたしました。 フロントエンドのスキルをベースに、今後バックエンドやインフラまで広くサービス開発に携わりたいお考えをお持ちとお見受けしており、弊社の環境がマッチしているのではないかと思っています。 弊社の開発チームは1チーム⚫︎名ほどでアジャイルでサービス開発を行っており、増収増益し続ける各事業の豊富なアセットを持ちながらも、少数精鋭のチームで開発を進めることで質とスピードを両立させることを目指してきました。 領域横断で開発を行うことも多いため、◯◯さんのように広くサービス開発に携わる志向性をお持ちの方はよりご活躍いただきやすいのではないかと考えています。 |
このように、魅力だけでなくその部分に魅力を感じた理由までセットで記載しましょう。スキルだけでなく、志向性の面でも魅力やスカウトした理由が記載されているとベストです。
core scout流・スカウトテンプレートの活用方法
各ツール上に登録されている最新のスカウトテンプレートも含めて、過去使用したテンプレートまですべてをひとつのページで管理します。また、募集ポジションごとに管理していきます。
※このテンプレートは「notion」でご利用いただけます。
管理表には初期設定として、初回作成のテンプレートを入力するページ、「テンプレートを追加する」ボタン、「テンプレートを更新する」ボタン、「ポジションを追加する」ボタン、カスタマイズパターンを管理するための表が用意されています。
テンプレート入力ページは、下のように件名と本文を分けてスカウト文を入力しておけるようになっています。また、初回送信分だけでなく、自動リマインドメール、再送用スカウトも記載できます。
スカウトのカスタマイズは、用意されている表に訴求したい魅力に応じて入力していきます。
そして3つあるボタンをクリックすると、それぞれ自動で新しい項目が生成されます。それぞれのボタンの役割は下記の通りです。
テンプレートをイチから新しく作りたいときに使うボタンです。何も記載されていない空のテンプレート入力ページが生成されます。
それまでのテンプレートから一部を変更したいときにクリックするボタンです。このボタンをクリックすると、それまで使用していたテンプレートがコピーされたページが作られます。あわせて使いはじめた日付を入力する欄も作られるので、忘れずに入力しておきましょう。
募集ポジションを追加するときに押すボタンです。すると、初回作成のテンプレートを入力するページ、「テンプレートを追加する」ボタン、「テンプレートを更新する」ボタン、「ポジションを追加する」ボタンなどの必要な項目が一度に生成されます。
返信率を高くするためのテクニック
候補者のプロフィールを読み込み、一人ひとりに寄り添ったスカウト文面を作ることが何よりも返信率上昇に貢献します。そのほか、フルリモートなど明確な魅力となる特徴がある場合は、タイトルやスカウトメッセージの冒頭など、最初に目につくところに記載しておくのがおすすめです。
また、情報量を盛り込みすぎないことも大切です。自社をアピールしたい気持ちや候補者の人とどうしても会いたい想いが相まって、スカウトメールは長くなりがち。
しかし、日々多忙な候補者にとって長い文章は負担になってしまいます。それだけでなく、伝えたいメッセージがぼやけてしまうというデメリットも。
おすすめは600〜700文字程度です。そのなかで、もっとも言いたいことを絞って伝えるようにしましょう。
ちなみに、Googleトレンドを参考にして送信するタイミングを決めるのも一つの手段です。
「転職」や「求人」などの言葉がどの程度検索されているのかを調べ、多く検索されている時間帯や日時に送信するというアクションを行います。予約送信ができるツールに限りますが、こうした確度の高い情報を参考にしつつ、スカウト送信を行うのも良いかもしれません。
スカウトメールの返信率を高める方法は、以下の記事でもご紹介しております。ぜひご参照ください。
まとめ
今回は、スカウトテンプレートを管理することの意義や、管理ツールの使い方、スカウトそのものの考え方について解説しました。
採用は人が相手でもあり、会社によって魅力もそれぞれです。
そのため、他社のノウハウが自社でも活きるかはわかりません。自社で試行錯誤していく必要があるのです。その試行錯誤をより効率よく行っていくために、core scoutのスカウトテンプレート管理ツールを活用いただければと思います。