ダイレクトリクルーティングは結果が数字で可視化される領域ですが、短期的な数値の上下に一喜一憂せず、戦略に基づいたアクションと、その改善をし続けることが重要です。
この記事ではダイレクトリクルーティングの中でも数字で明確に測れる「スカウト返信率」について、core scout(コアスカウト)のノウハウを提供いたします。
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目次
ダイレクトリクルーティング効果測定のKPI
スカウトメールの返信率を上げるために、まずは現状把握を行います。以下の6つの数字を洗い出し、自社のKPI(重要業績評価指標:目標達成のプロセスの達成度合いを測る指標)をどこに定めるかを検討します。
1:スカウトメール送付数
2:スカウトメール開封率
3:開封後の求人閲覧率
4:求人閲覧後の返信率
5:スカウトメールの返信率
6:返信者の応募率
上記を数値化するときれいなファネルになっていることが多いでしょう。もし数字に凹凸があれば、その箇所が採用フローの強み、もしくは課題になっている箇所です。
今回の記事はその中でも特にお悩みの声が多い「5:スカウトメールの返信率」に特化して記載します。
平均返信率
返信率はツールによっても異なります。代表的なダイレクトリクルーティングツールの数値をいくつか抜粋してみました。
Wantedly:返信率10-15%(開封率70-80%)
ビズリーチ:返信率5-6%(開封率60-70%)
Forkwell:返信率(承諾率)7-8%(開封率60-70%)
Green:返信率2-3%(開封率50%)
上記は弊社が採用支援を行う中の一例であくまで目安ですが、自社の現状と照らし合わせて、数値が大きく乖離していないかなどを確認してみましょう。
エンジニアは返信率が低い傾向
上記の返信率のWantedly、ビズリーチ、Greenは、全職種平均の数値のため、エンジニア職種に絞ると返信率が2分の1以下に落ちることも珍しくありません。
エンジニア採用は売り手市場であること、各社エンジニア採用に力を入れていることから、エンジニアには日々多くのスカウトメールが届き、選別して返信をするケースが多いとされています。
エンジニア採用の成果を出したい場合は、そもそもの送信数を増やすことと、返信率を上げる施策を並行して行うことをおすすめします。
返信率の低いスカウトメール 悪い事例
成果の出ていないスカウトメールで散見される、悪い事例をピックアップしました。自社例と照らし合わせ、改善すべきポイントを探してみてください。
ほんの少しの改善で驚くべき成果が出ることもあります。
文面が長い(文量が多い)
スカウトは基本的に読まれないという前提で、本当に伝えたい内容に絞りましょう。会社紹介や業務内容の記載が長いと、文章が冗長になりがちです。
箇条書きの項目がいくつも続く
箇条書きは見やすいというメリットもありますが、その分テンプレート感も強く、特別なメッセージとして読んでもらえないという懸念があります。
カスタマイズに時間をかけすぎる
返信率を上げるためには、母数となる送信数を伸ばすことも重要です。1通に時間がかかりすぎている場合は要注意です。工数観点でいえば、1件のパーソナライズに10分かかるならば、100件送信のためには1000分(16時間)が必要です。現在のご自身や周りの負担を考えたときに、それが適切かどうかを今一度振り返ってみることをお勧めします。
返信率を上げるコツ その1「タイトル」
ここからは書き方のコツを解説します。まずはタイトルです。
タイトル内に要素を詰め込み過ぎるとメッセージが伝わりません。開封率・返信率を上げるためにも「1タイトル、1メッセージ」を意識します。
◆例【面談確約】CTOの●●です。DockerやTerraformを用いてインフラ構築を効率化していきませんか?
タイトルで数字や独自性を出すと、目を引きやすくなります。
◆例
【前年比200%成長!】DAU200万人の●●をグロースさせる企画を推進するRailsエンジニア募集
候補者に関係のあるワードを入れてみましょう。自分に関係がある、自分のスキルを見てスカウトしてくれている、と意識してもらうことで返信率は高まります。
◆例
【●●社での経験を拝見しました!】弊社が最注力する◯◯のポジションでぜひ一度お話させてください
返信率を上げるコツ その2「送信時間帯」
送信相手が現職にいることを想定し、送信時間帯の工夫を行いましょう。
一般的には
起床~通勤時間 7:00~9:00
ランチタイム 12:00~13:00
帰宅時間 18:00~19:00
といったような、スマホを見る時間帯に送信することで、スカウトメールを開封していただける確率は高まるでしょう。
また『LAPRAS SCOUT』で曜日別に開封率を比較したところ、エンジニア向けのスカウトメールでは月曜日と金曜日で特に開封率が高くなることが分かっています。
理由ははっきりしていませんが、本業がある候補者は週の始まりと終わりにまとめてメールチェックを行う方が一定数いるのかもしれません。
(参考:https://hr-tech-lab.lapras.com/scoutmail/scoutmail-best-time/)
返信率を上げるコツ その3「文字数」
前述の通り、文字数が多すぎるとメッセージがぼやけ、返信率は下がる傾向にあります。1000文字を超えると読む気をなくす求職者もいることを想定し、カスタマイズ部分とテンプレート部分を合わせて、600〜700文字程度を目安とするのが妥当でしょう。
たとえばITエンジニア採用のForkwellでは、スカウトメールに500文字の制限があり、自ずと訴求メッセージが1・2個に絞られます。「刺さるスカウトは短く具体的」と意識してください。
スカウトメールの全体構成と書き方のポイント
スカウトメールの構成例をご紹介します。ただし、マニュアル通りでは候補者の気持ちを動かせません。現場に合わせてカスタマイズし、結果検証を行いながら「自社で成果の出る構成テンプレート」を練り上げていくことをおすすめします。
【おすすめの構成】
挨拶→スカウト理由→採用背景(会社紹介含む、事業や組織の課題)やポジションについて→結び(カジュアル面談のお誘い)
上記の構成内で、なぜあなたが必要かをストーリーで訴求する必要があります。中でも「スカウト理由」「採用背景」は返信率を高める特に大切な要素です。
スカウト理由>なぜあなたをスカウトするのかを明確に書く
・魅力を感じたポイントと、その理由をセットで伝える
・経験スキル、志向性の2軸が書かれていると強いカスタマイズになる
採用背景>スカウト理由から狭めていけばより説得力が上がる
→まずあなたをスカウトした理由は**です。
→具体的な採用背景は**です。
→そのような背景から、**ではないかと考え、あなたにスカウトを送っています
ただし、候補者の年齢、経験スキル、志向性によって設計すべきストーリーは異なります。返信が来るかどうかは運の要素もありますし、類似ターゲットに訴求する文言は各社似通うことが多いため、全候補者にフルカスタマイズでスカウトを送信するのは工数や効率観点からあまりおすすめしません。
以下のコンセプトを参考に、経験やスキルごとのテンプレート文面を作成しておくことも検討してみてはいかがでしょうか。
若手育成コンセプト例:一緒に成長しましょう!
中堅層コンセプト例:助けてください!
フルスタックエンジニアコンセプト:一緒に事業をつくりませんか?
より返信率を高める工夫
文章テンプレート以外にも工夫できることは多くあります。そもそもスカウト返信率と因果関係のある因子はパーソナライズ以外にもある点に注意し、以下を踏まえて募集自体の魅力度を高めていきましょう。
・企業やプロダクト、サービスの認知度やその印象
・採用背景などの内容のわかりやすさ
・求人の魅力度
・勤務地や提示年収といった諸条件など
一定期間経過後にスカウトを再送する
プロフィール更新や転職意欲更新を通知してくれるツールもあるので、機会を逃さないため、通知設定をオンにすることをおすすめします。関係者のデイリー等で随時確認を行えれば旬な対応が可能になり、返信率は高まります。
求人票を見直す
そもそもの求人文面を見直します。「入社後はこれ」「慣れてきたらこれ」などの担当してもらう業務、キャリアフローや勤務地や提示年収などの諸条件が分かりにくければ、応募はしてもらえません。入社後のイメージができるよう、配属部署の組織構成なども記載しておきましょう。
ネクストアクションを記載する
カジュアル面談、面接、書類選考などの応募フローを明確にし、返信後にどのようなアクションが必要なのかを記載しておきます。
業務委託(複業、フリーランス等)向けの採用ツールを利用する
優秀な人材であれば正規雇用ではなくてもよい、という企業も増えています。候補者側からしても、転職ではないため返信ハードルが低くなり、結果として返信率が20〜30%という高水準になるケースも珍しくありません。
スカウトの主役は候補者であることを忘れずに
採用担当者として送信数をはじめとしたKPIを追うことは、採用成功に向けた大切な要素の一つですが、それ以上にスカウトメールを受け取る「人物」のインサイトを考えて採用活動を行う必要があります。
最後に、ダイレクトリクルーティングを活用した募集活動において、より大切な3つのポイントをご紹介します。
「なぜスカウトを送ったのか(=Why you?)」が読み手にはっきり伝わるようにすること
カスタマイズ箇所でもテンプレート箇所でも同じです。抽象的な、印象のよい言葉の羅列では、候補者にインパクトを与えられません。
スカウト文の主語が常に候補者側にあること
スカウトメールですべて伝えよう、という気持ちを捨て、自社の紹介やポジションの詳細は面談で話すようにしてください。スカウトメールはあくまで、面談につなげるための入り口です。
現場を巻き込んでリアルな声を拾っていく
採用ターゲットや採用背景、候補者への期待値などは現場が一番よく知っています。人事だけで考えると独りよがりなメッセージングになるケースも多いため、関係者と壁打ちをしながら文面を考えていくことをおすすめします。
ダイレクトリクルーティングでエンジニアを採用するなら
「core scout(コアスカウト)」では、戦略立案から実行支援、改善施策まで、エンジニア採用のプロにダイレクトリクルーティングの運用をお任せいただけます。
採用成功に向けた取り組みはもちろんのこと、スカウトメールの豊富なナレッジや、他社の事例も踏まえながら、適切にPDCAのサイクルを回し、お客様の採用競争力を高められるようご支援いたします。