労働者人口の減少やSNSの普及により、採用手法の1つとしてダイレクトリクルーティングが普及してきました。ダイレクトリクルーティングは、従来型の「待ちの採用」とは異なり、企業が求職者に直接アプローチを行う「攻めの採用」です。従来とは全く異なるアプローチが必要なダイレクトリクルーティング。取り入れるかどうか決めかねている採用担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリットやダイレクトリクルーティングで成果の出やすい企業の特徴、採用成功の事例などを紹介します。
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目次
ダイレクトリクルーティングとは?
はじめにダイレクトリクルーティングの特徴や他の手法との違いなど、概要をお伝えします。
ダイレクトリクルーティングの特徴
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者へ直接アプローチできる採用手法です。
具体的には、求職者のデータベースを保有するダイレクトリクルーティング媒体と契約し、そのデータベースのなかから自社とマッチ度の高い候補者を選定し、スカウトメールなどで直接アプローチします。
ダイレクトリクルーティングと他の手法の違い
従来の採用手法では求人票を掲載するなどして求職者からの応募を「待つ」しかありませんでした。一方でダイレクトリクルーティングでは企業側からアプローチできるので「攻めの採用」と言われています。
求人広告との違い
求人広告は求人情報をまとめたサイトにお金を払って掲載し、求職者から応募を集める方法です。
求人媒体は不特定多数の求職者が求人情報を閲覧できるため、ダイレクトリクルーティングよりも広く、大きく母集団を形成しやすいのが特徴です。
一方でダイレクトリクルーティングは自社が求めるターゲット人材のみにアプローチできるため、質の高い母集団を形成できます。
人材紹介との違い
人材紹介は、求人にマッチする求職者を人材紹介会社から紹介してもらう方法です。
ダイレクトリクルーティングと異なる点はかかる工数とコストです。
人材紹介はマッチするかどうかの判断をはじめ、企業の魅力づけや日程調整等のやり取りもお任せできます。そしてかかる費用の相場は採用した人材の年収の35~40%です。
一方でダイレクトリクルーティングはマッチしているかどうかの判断や魅力づけ等を自社で担う必要があり手間がかかります。またダイレクトリクルーティングの費用は媒体により異なりますが、基本的には人材紹介より安く抑えられます。
ダイレクトリクルーティングが普及した背景
ダイレクトリクルーティングの普及には主に下記3つの背景があると考えられます。
- インターネットの普及
- 労働力人口の減少
- 終身雇用の崩壊
インターネットの普及により手軽に情報収集ができるようになったため、求職者に自社の情報を届けるためにより積極的なアプローチが必要になりました。
また労働者人口の減少による売り手市場に加え、終身雇用の崩壊による人材の流動性の高まりにより採用コストが高騰しています。
これらの理由から、コストを抑えつつ採用要件を満たす人材にピンポイントでアピールできるダイレクトリクルーティングが普及したと考えられます。
ダイレクトリクルーティングの5つのメリット
「攻めの採用」が特徴的なダイレクトリクルーティングには下記のようなメリットがあります。
1.求める人材に直接アプローチできる
ダイレクトリクルーティングの一番のメリットは、求める人材にピンポイントでアプローチできることです。
企業は求職者のプロフィール情報から求める能力・スキルに一致しているかを判断し、条件を満たした人材にピンポイントで接触を図ることができます。母集団の質に課題がある企業に適した手法と言えるでしょう。
2.採用コストを最適化できる
2つ目のメリットは採用コストを最適化できることです。ダイレクトリクルーティング媒体の費用形態は媒体により様々です。
- データベース利用料のみかかる媒体
- データベース利用料+成功報酬(20%程度)の媒体
- 成功報酬のみの媒体
- スカウト通数に応じて従量課金の媒体
採用計画に合わせて最適な媒体を選定することで、費用を抑えられたり、「コストをかけたのに人材を採用できなかった」という事態に陥ることを防げたりする可能性が高くなります。
採用人数や採用時期、募集ポジションの想定年収などを考慮し、費用対効果の高い媒体を選びましょう。
3.他サービスに比べて自社の魅力を伝えやすい
3つ目のメリットは自社の魅力を伝えやすいことです。
年収に応じて報酬が決まる人材紹介では、より高い給与を払える大手の企業へ紹介が偏ってしまうリスクがあります。また求職者に合わせたカスタマイズができない求人広告ではやはり、名前がよく知られている企業や、仕事のイメージをしやすいtoC向けのサービスが有利な側面があります。
一方でダイレクトリクルーティングでは求職者の経歴や希望条件、志向性に合わせたスカウトを送付することで求職者の応募意欲を高められます。
大手と比較して提示できる給与が低い企業や、名前がまだ知られていない企業におすすめの手法です。
4.転職潜在層にもアプローチできる
ダイレクトリクルーティングの4つ目のメリットは、転職潜在層にもアプローチできることです。求人広告や人材紹介を利用する求職者は、元から転職を希望している顕在層がメインです。
一方、ダイレクトリクルーティング媒体はあらゆる手法で会員を集客しています。
例えばエンジニア特化型のダイレクトリクルーティング媒体では最大規模の「paiza」は「プログラミングスキルを測れるツール」として登録者を増やしており、積極的には転職を希望していない人にもアプローチが可能です。
このように潜在層にアプローチすることで、転職意欲を高めたり、転職意欲が高まった時の候補として検討してもらえる可能性を高められるのです。
5.社内の採用力強化につながる
最後に、ダイレクトリクルーティングは社内の採用力の強化に繋がります。
ダイレクトリクルーティングではペルソナの設定からターゲットに合わせた求人票、スカウト文の作成、選考プロセス内での魅力づけなど全て自社で行わなければなりません。
どんな要件にするのか、訴求できる自社の魅力は何か、歩留まりを改善するにはどうすれば良いか。これらを考えるのは難易度が高いですが、PDCAを回すことで必然的に採用ノウハウは溜まっていきます。
ダイレクトリクルーティングの4つのデメリット
メリットの反面、デメリットももちろんあります。
1.採用担当および現場の工数が増える
ダイレクトリクルーティングは採用担当や現場メンバーの協力が不可欠であり、工数も多く取られてしまう手法です。
スカウトは面接・面談を確約で送付することが一般的なため、ターゲットを適切に選定しなければなりません。また、膨大なデータベースの中で一人ずつプロフィールを読んで送付するか見極め、対象者にはカスタマイズしたスカウトメールを作成する必要があります。
採用担当と現場の業務分担は企業によって異なりますが、特にエンジニア等の専門職の場合はより現場の協力が必要になります。
2.担当者のスキルや経験の影響が大きい
ダイレクトリクルーティングの成果は、担当者により大きく左右されます。
求職者に合わせたアプローチをするためには各職種における専門知識や訴求を整理する力が必要です。面談や面接での魅力づけにはコミュニケーション力も求められます。
クオリティを平準化するためには採用ノウハウを蓄積して少しずつ体制を整えていくほかありません。
3.大人数の採用に向かない
ダイレクトリクルーティングは大人数を採用したい場合には不向きです。
スカウト送付後の応募率は数%〜10%程度ですし、1通ずつ求職者に送付してアプローチするため、アプローチできる人数に限りがあります。
大量採用の場合は、一度掲載費用を払えば何人採用しても追加の料金は不要の求人広告の方がコストを抑えられる可能性が高いでしょう。
4.成果が出るまで時間がかかる
求職者個人に合わせたアプローチが求められるダイレクトリクルーティングは、成果が出るまで時間がかかることが多いです。
スカウトを個別で作成して送付するには時間がかかりますし、転職意欲の低い候補者に対しては継続的なアプローチを行うなど、地道な取り組みが必要です。自社の勝ちパターンを見つけるまでにも試行錯誤が必要で時間がかかります。
緊急度の高い採用の場合は求人広告や人材紹介の方がおすすめです。
ダイレクトリクルーティングで成果が出やすい企業
メリット・デメリットを踏まえ、ダイレクトリクルーティングで成果を出せる企業の特徴をご紹介します。
採用に一定の工数をかけられる
ダイレクトリクルーティングでは、コストを抑えつつ質の高い求職者と接点を持つためにある程度の工数をかけることが必須となります。
採用担当者が下記のようなアクションに工数をかけられるのであれば成果は出やすいでしょう。
- ターゲットを選定する
- パーソナライズしたスカウトを作成する
- 返信が来た候補者と面談を行う
現場との協力体制を構築できる
ダイレクトリクルーティングの運用には現場の協力が必須です。運用開始直後は「選定の目線が合っているか」「面接した候補者がペルソナに合っているか」などPDCAを回すために必要な情報を現場の協力を得て収集していかなければなりません。
特にダイレクトリクルーティングは企業側からのアプローチによる関わりのため、候補者の熱は冷めやすく、選考のスピード感も重要な要素となってきます。
現場メンバーは主業務が忙しく、採用業務は後回しになりがちです。その中でも優先度をできる限り高めて対応いただけるように協力体制を構築することが成功の鍵となります。
一人ひとりに合った魅力訴求をできる
一人ひとりに合った魅力を訴求するためには2つのステップが必要です。
- 魅力の引き出しをたくさん用意する
- 引き出しの中から求職者にあった魅力を訴求する
まずは自社での活躍人材の分析や採用競合企業の調査、フレームワークなどを利用して自社の魅力を言語化します。その上でABテストのような形で色々なパターンを試しながら、自社のターゲットに刺さる求人票やスカウト文面を作り上げていきます。
非常に戦略的でマーケティングにも似た要素が多いですが、ダイレクトリクルーティングは採用においてこうした取り組みをできる企業におすすめです。
ダイレクトリクルーティングの成功事例
株式会社Helpfeel
株式会社Helpfeelは「現場を巻き込む力」でダイレクトリクルーティングでの採用を多数成功させています。
組織の急拡大に向け人材紹介、リファラル採用など含め様々なチャネルを活用して採用に取り組んでいる中、全体の約5割はダイレクトリクルーティング経由とのこと。
その成功の背景には現場メンバーを巻き込んだダイレクトリクルーティング体制がありました。
現場を巻き込むためには、現場への理解とリスペクトをもち、人事もプロとして職種理解に向けた努力を怠らないこと、そして結果が出ない状況でもしっかりと振り返りを行い、人事と現場の双方がポジティブな気持ちを持つことが重要と話しています。
参考:大規模採用の約5割がスカウト経由。エンジニア採用を成功させる「巻き込み力」とは?【株式会社Helpfeelさま】
PIVOT株式会社
PIVOT株式会社では責任者が採用にコミットすることで特に採用難易度が高いと言われているエンジニア職種において100日で2名の採用に成功しました。
プロダクト組織の立ち上げ・採用を担ったのはプロダクトマネージャーのはちさん。
「自分が一緒に働きたいと思った人に声をかけられる」ことに魅力を感じダイレクトリクルーティングを取り入れることに決めたそうです。
ダイレクトリクルーティングの運用には工数がかかりますが、採用担当者を増やすのではなく、スカウト、カジュアル面談、1次面接を全てご自身で行うことで質を担保しました。
スカウトの文面は一人一人にカスタマイズして作成、また二次面接以降の担当者への情報共有もしっかり時間をかけて行うなどして採用にコミットされました。
参考:リファラル不要!100日のスカウトで2名採用。ビジネス映像メディア「PIVOT」の方法とは
弁護士ドットコム株式会社
弁護士ドットコム株式会社はスカウトで一人一人に合った魅力を訴求することで「スカウト承諾率約14%」「導入から半年で1名の採用」を成功させました。
スカウト文面に、必ずスカウトを送った理由や候補者のスキルをどう活かせるか、プロフィールに志向性の記載がある方には、その志向性とマッチしそうな点を書くことでスカウト承諾率を高い水準で保てているとのこと。
スカウトの承諾だけでなく、採用にも成功していることから適切なターゲットに対する適切な訴求ができていたことが読み取れます。
参考:CSと二人三脚で採用数値を改善!人事&エンジニアの協業体制で安定的なスカウト運用体制を構築
ダイレクトリクルーティングで採用するならcore scout
ダイレクトリクルーティングで成果が出やすい企業の特徴や成功事例をご紹介しました。
・リソースが足りず採用に工数をかけられない
・自社にノウハウがなく効果的な運用ができない
このようなお悩みをお持ちの企業には採用活動を「外部に任せる」という選択肢もあります。
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