こんにちは!スカウト支援サービス「core scout」を運営する株式会社シンギョク 代表の花房です。
シンギョクでは、創業以来、初めてミッション・バリューを策定しました。
その理由と、策定のプロセスのありのままをご紹介します。
※シンギョクのご紹介や成り立ちは以下記事をご覧いただけますと幸いです。
目次
なぜミッション・バリューが必要だったのか
シンギョクは現在3期目にあたります。実は、創業から3期目の開始までは、ミッションなどの必要性を感じていませんでした。できることをコツコツ積み重ねていった結果として、フリーランスから法人化したという経緯もありますし、率直に言えば、特段困るシーンがなかったからです。
ただ、今年の1月に初めて社員を雇い、その後もメンバーが増える中で、ミッション・バリューの必要性を感じるようになりました。
具体的に感じたことはというと……
・それまでは、代表の私が事業に関する判断をすべて行ってきたが、事業拡大につれ限界が出てきた。そこで、自分たちの「あり方」を示し、そこに向かってメンバーが主体的に取り組める状態をつくりたかった。
・シンギョクとして推奨するスタンス・行動を言語化し、事業を加速させたかった。
・採用、評価などにおいて、定性面を捉える基準をつくりたかった。
このような想いが芽生えたため、ミッション・バリューを策定することにしました。
策定において重視したこと
代表の私だけで決めるのではなく、全社員に策定プロセスに関わってもらいました。といっても社員はまだ少人数のため、会社の方向性のみならず個人として大切にしたいことのすり合わせも丁寧に行い、全員が納得感を持てるまで、期限は決めずに時間をかけて話し合いを行ないました。
話し合いの流れ
私とファシリテーターで協議し、以下の流れで議論を進行しました。
① 社員同士の相互理解を深める
いきなり会社のミッションについて話す前に、まずは社員自身の価値観で、これまでのキャリアや仕事で嬉しかったこと、大切にしたいこと、避けたいことなどをそれぞれ自己開示しました。これは、社員の価値観を言語化し、かつその相互理解があってこそ"等身大"のミッションとバリューを生み出せると考えたためです。
② 会社としてどうしていきたいか?
次に、主語を「自分」から「会社」に置き換えて議論を進行しました。ただ、いきなり目指したい姿を考えるのではなく、サービスを通じてクライアントにどう感じてほしいか、どんな価値を提供したいか、どういう結果を生み出したいか、などを本音でディスカッションし、ありたい姿の解像度を高めていきました。
③ 議論の内容を具体化
今度は主語を「メンバー」に移し、これまでの仕事で良いと思った行動、逆に良くないと思った行動などを具体的に出し合ったほか、他のメンバーに求めること、譲れないことなどを洗い出し、シンギョクとして目指した基準について議論しました。
④ 仮のミッション、バリューを言語化
①~③の内容を踏まえ、仮のミッション・バリューを言語化し、いいと思った要素や不足している要素などを議論しました。
このあとはミッション・バリューそれぞれの具体的な内容について時には①~③の内容を振り返りながら精度を高め、計4回ほど仮案をブラッシュアップしながら合意に至りました。
策定プロセスの中で感じたこと
議論全体の印象としては、顧客志向の強い社員が集まっていることから、「クライアントに対して自分たちが価値発揮をどうしていくか」という点については、最初から各々のイメージが近かった気がします。
一方で、「自分たちのスタンスをどこまで貫くか(クライアントのために、どの基準まで寄り添うべきか)」という点は意見が分かれ、迷うポイントでした。
私個人としては、メンバー個人の価値観を大切にすることを創業から大切にしていたつもりでしたが、個々人がどのような気持ちで働いているか、何を嬉しいと感じるかなど、あまり理解できていなかったことに気づきました。その意味で、策定したことだけでなく、そのプロセス自体が私や社員それぞれにとって貴重な時間になりました。
また、関わる全員が会社を主語に考えを巡らしてくれることは、今までにない経験で、とても感慨深かったです。
自分が始めたことで仲間が集まり、その仲間とともに想いを重ねられていること自体を嬉しく感じました。
ミッションに込めた想い
それでは、実際に策定した、ミッション・バリューを紹介させてください。
「期待を超えて」とは?
・今よりより良くしていこうというスタンスが、私たちの原動力になる
・「プロとして、こんなにやってくれるんだ」という、クライアントにとっての付加価値を生み出し続けたい
という意思を込めています。
「伴走する」とは?
・同じゴールを目指す。クライアントと我々とで、取り組むことの目的、方向性が一致している
・あくまで主役・主体はクライアント。その歩みを尊重する
・クライアントに信頼され、責任を果たす
という意思を込めて「伴走」という言葉を用いました。
上記に関しては、いろいろな議論がありました。
たとえば「支援」などの言葉はどうか?という案もありましたが、シンギョクとしては、対等にクライアントと向き合うことを強調したい狙いから、この言葉を選びました。
バリューに込めた想い
「専門性と生産性を磨こう」
ミッションで掲げた「期待を超えて"伴走”する」ためには、プロとして、個人が知識・知見を深め続けることが大切だと考えました。また、価値発揮の量と質を高めていくためには、現業務の生産性も重要であり、その点もバリューとして盛り込んでいます。
「明瞭なコミュニケーションを取ろう」
フルリモート、フルフレックスの組織だからこそ、受け手にとって気持ちよく、課題やネクストアクションが分かりやすいコミュニケーションにこだわる必要があります。これは、議論の流れでご紹介した [プロセス③] の中で浮かび上がってきたポイントで、具体的なシーンを挙げながら望ましいコミュニケーションのあり方をすり合わせました。
「対等に向き合おう」
クライアント、メンバーともに対等な関係を築くことこそが、忖度なく同じゴールを向き、価値発揮するために必要なスタンスだと考え、バリューとして盛り込みました。
ちなみに:なぜビジョンがないのか?
通常は「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」と呼ばれるように、これらを3点セットで策定することが多いかと思います。
策定プロセス初期のころはその枠組みで考えていたのですが、議論を重ねていく中で、いまは創業期ということもあり、目標としてのビジョンは自然と変わっていく可能性があると感じました。策定して形骸化してしまうとミスコミュニケーションにつながる可能性もありますし、それよりも「自分たちがどうありたいか」が明確であれば、冒頭にご紹介した目的は達成できると考えたため、現段階では敢えてビジョンを策定していません。
もちろん、今後策定するタイミングも来るかもしれません。
これから
策定して終わり、ではなく、このミッション・バリューを浸透させるために、日々この言葉を用いてコミュニケーションを図っていきます。現在、すでに1on1ミーティング内での行動の称賛や、改善策を考えるときに、バリューに基づいた議論を展開するようにしています。さらに今後は、採用の基準・評価制度にもこのミッション・バリューを組み込むことで、社員やメンバーが自然と意識できるような仕組みをつくっていきたいです。