採用ブランディングとは?具体的な進め方や企業の成功事例を紹介

人手不足や採用手法の多様化、人々の価値観の変化といったさまざまな時代背景を受けて、昨今の採用市場では単に求人広告を掲載するだけでは求める人材を採用することが難しくなってきています。

だからこそ今、重要となるのが採用ブランディングです。

求職者に「この会社で働きたい」と思わせる価値や魅力を届ける戦略が採用成功を引き寄せる大きなカギとなります。

当記事では採用ブランディングの基礎知識から具体的な進め方やポイント、企業の成功事例まで詳しく紹介していくので、あなたの企業の採用ブランディングに役立ててください。

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目次

採用ブランディングとは?

採用ブランディングとは、自社の魅力や価値を求職者の心に刺さるイメージへ具現化して「この会社で働きたい」という想いを生み出すこと。

そもそもマーケティング用語の一つでもある「ブランディング」とは、企業や商品・サービスを消費者に認知してもらうために他社とは異なる独自の価値を確立し広める、という意味を持つ用語です。

それを採用の場に落とし込んだのが「採用ブランディング」で、自社が求めるターゲットを引き寄せられるよう自社の魅力・価値をコンセプトメイキングする役割を担っています。

採用広報・採用マーケティングとの違い

採用ブランディングと似た言葉に採用広報と採用マーケティングがあります。

これらの言葉の意味・違いを理解して適切に採用活動に取り込んでいきましょう。

採用ブランディング企業独自の文化・価値観・ビジョンといった内包的な魅力にフォーカスして、求職者や転職潜在層の心を「この会社で働いてみたい」と動かすこと。
採用広報求職者に向けて企業の求人情報や社会に対する取り組み、ビジョンやミッションといった企業の想いなどの情報を広く伝えコミュニケーションを生み出すこと。
採用マーケティング企業が求める優秀な人材を採用するためのマーケティング戦略・活動のこと。主に求職者に対して魅力的な雇用機会(採用CX)を提供するための活動を指す。

採用ブランディングが注目されている背景

近年では人手不足による有効求人倍率の上昇・SNSの普及・人々の価値観の多様化といった背景を受け採用ブランディングの重要性が高まってきています。

どれだけ採用媒体を増やしたとしても自社が求める人材に適切なアピールができなければ、採用成功できない時代に変遷しつつあるのです。

採用成功を収めるため、まずは採用ブランディングが注目されている背景について詳しく見ていきましょう。

人手不足による有効求人倍率の上昇

人手不足が謳われる昨今ですが実際に帝国データバンクによる「人手不足に対する企業の動向調査」を見てみると、正社員の人手が不足している企業の割合は5割を超えており、その深刻さが数値でもしっかりあらわれています。

また独立行政法人情報処理推進機構による「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」では、9割を超える企業がIT人材の量・質ともに「大幅に不足している」「やや不足している」と回答しています。

こういった状況下では有効求人倍率はどんどん上昇し、さらなる採用競争の強まりが予想されるでしょう。

激化する採用市場のなかで求職者から選ばれる企業になるためには、採用ブランディングに注力して魅力の底上げをする必要があるのです。

参考:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」

参考:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」

SNSの普及

X(Twitter)やTikTok、Instagram、Facebookなど各種SNSの普及は時代を追うごとに広まり、今では連絡ツールのインフラの一つとして、ビジネスのプラットフォームとしても活用されています。

そんな状況のなかSNSを活用した採用活動も広がっており、SNSで採用を行ったり、企業の魅力を発信するツールを活用したりする企業が急激に増えている状況です。

またリクルート就職みらい研究所の「採用活動中間調査 就職活動状況調査」によると、就職活動中に活用したメディアのうちSNSを活用した割合は22.1%。

7〜8割にのぼる就職情報サイトや企業ホームページの活用度に比べると劣りますが、決して無視はできない数値感でしょう。

SNSを採用活動に上手に組み込むためには、ブランディング視点が欠かせません。

参考:リクルート就職みらい研究所「採用活動中間調査 就職活動状況調査」

人々の価値観の多様化

時代の移り変わりとともに人々の価値観にも変化が生まれていきます。

SOMPOホールディングス株式会社の「仕事に対する価値観の変容に関する意識調査」によると、ここ数年で44.4%の方が「価値観に変化があった」と回答しています。

なかでもリモートワークの発展やDXの台頭は働き方に対する価値観に大きく影響を与え、プライベートの暮らしや家族との時間といった、より生活に密接に関わる事柄を重視している傾向がみられるようです。

さらにウォンテッドリー株式会社による「パーパスとエンゲージメントに関する調査結果」を見ると、転職先に求めることTOP3にあがっている事項は給与水準・有意義な仕事(共感できるパーパスを持っていること)・勤務形態の柔軟性(リモートワーク等)の3つ。

転職する際はプライベートを含めた働きやすさにくわえて、給与含めやりがいをもって働ける仕事かどうか、共感できる価値観を持っている会社かどうか、という点が重視されていることがわかります。

上記のような会社独自の価値観・雰囲気・働きやすさを伝えるにあたり、採用ブランディングは非常に最適です。

人々の価値観の変化に応えるためにも、採用ブランディングは欠かせない取り組みの一つとなっているのです。

参考:SOMPOホールディングス株式会社「仕事に対する価値観の変容に関する意識調査」

参考:ウォンテッドリー株式会社による「パーパスとエンゲージメントに関する調査結果」

採用ブランディングを行う5つのメリット

注目を集めている採用ブランディングですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここからは、以下5つの効果について見ていきましょう。

  1. 企業の認知度が高まり人材確保につながる
  2. 価値観の合う人材を採用できる
  3. 内定辞退率や早期離職率を減少できる
  4. 採用コストの削減につながる
  5. 社員エンゲージメント向上につながる

採用ブランディングのメリットを理解したうえで採用活動に取り入れると、より本質的な施策として展開できるようになるのでしっかり確認していきましょう。

1.企業の認知度が高まり人材確保につながる

採用ブランディングでは転職潜在層〜顕在層まで幅広い人材に向けて働きかけることができるため、企業の認知拡大に大きく貢献してくれます。

企業を知る人の母数が増えれば、相対的に興味関心を持ってくれる人の数や応募してくれる人の数が増加するうえ、将来的な転職先候補として検討してもらえる可能性もあるでしょう。

企業自体の採用力を高められる点は企業に合う人材を採用するにあたって大きなメリットになります。

2.価値観の合う人材を採用できる

採用ブランディングでは、企業が掲げているミッションやビジョン、大切にしていることや考え方など内面的な魅力を発信することで企業に合った人材から興味関心を集めることができます。

給与や福利厚生といった条件面も大事な要素ではありますが「会社の想いに共感した」「この人たちと一緒に働きたい」と、価値観に共感して入社する人材はモチベーションが高くなる傾向にあるため早期かつ長期的に活躍してくれる可能性が高いです。

3.内定辞退率や早期離職率を減少できる

採用ブランディングを行うと求める人物像が明確になるうえ、企業にマッチする人材からの応募を集めやすくなります。

そうすることによって価値観の相違やカルチャーミスマッチといったネガティブ要素を払拭しやすくなり、内定辞退率や早期離職率を改善しやすくなります。

マッチする人材からの応募を集められれば内定後フォローや早期離職による対応といった工数も減少していくため、生産性高く採用活動を進められるメリットも得られるでしょう。

4.採用コストの削減につながる

採用ブランディングを行うことで企業認知が拡大し、企業や事業・組織のイメージが高まれば自然と応募者を集められるようになります。

複数の媒体に求人広告を掲載したり、人材紹介サービスを利用したりしなくても、効果的に応募を集められるようになるため採用コストの削減につながるでしょう。

5.社員エンゲージメント向上につながる

採用ブランディングは採用活動だけでなく、社内で働く社員にも良い影響をもたらしてくれます。

社員エンゲージメント向上において大切な点は共感性と企業や事業への愛着度です。

採用ブランディングでは企業の想いや特徴を言語化しながら発信していきます。

そのため企業が大切にしているミッションやビジョン、自社ならではの価値観を再確認・再発見できるため、より仕事に対するモチベーションを高めることができます。

採用ブランディングを進めていくときには、外部だけでなく内部にも注目しながら取り組んでいきましょう。

採用ブランディングを行う4つのデメリット

採用活動を強化できる採用ブランディングですが、一方でブランディングをする過程において多々デメリットも存在します。

  1. 効果が出るまでに時間がかかる
  2. PDCAをまわしつづける必要がある
  3. 人事だけでなく社員全員で協力する必要がある
  4. 過度なイメージアップは逆効果になる

事前にデメリットを知っておくことで対策が取れるようになるため、成功確率を高めるためにもしっかり確認していきましょう。

1.効果が出るまでに時間がかかる

採用ブランディングは、効果が出るまでに時間がかかります。

企業の認知を高めること、ブランドイメージを浸透させることは一朝一夕でできることではなく、効果を感じられるまで2〜3年以上かかる可能性もあるでしょう。

2.PDCAをまわしつづける必要がある

採用ブランディングで成果を上げるためには、PDCAサイクルをまわしつづける必要があります。

一度コンテンツを発信したら終わりではなく、継続的な情報発信を行っていかなければなりません。

3.人事だけでなく社員全員で協力する必要がある

採用ブランディングは、人事や経営陣だけで行う取り組みではありません。

現場で働いている社員も含めた全員で協力しながら進める必要があります。

なぜなら採用ブランディングとは企業の内面的な魅力を伝える取り組みであり、それをリアルに伝えるためには社員の実際の声・働いている様子・胸に秘めている想いといった真の姿を発信する必要があるからです。

社員全員を巻き込む取り組みは、そう簡単なことではありません。

4.過度なイメージアップは逆効果になる

採用ブランディングによって企業のイメージアップを図ることは重要ですが、過度なイメージアップは逆効果になってしまいます。

なぜなら外部に発信している内容と、現場で働いている社員の実情にギャップがあるとブランディングが機能しない可能性が高く、せっかく入社した社員も活き活きと働けなくなってしまうからです。

ただ単にイメージアップできれば良いわけではなく、企業にとって最適な方向性でブランディングをしていかなければなりません。

採用ブランディングに役立つフレームワーク

採用ブランディングを進めるにあたり、役立つ代表的なフレームワークを4つ紹介します。

3C分析外部環境を分析することを主な目的としたフレームワーク。3Cとはそれぞれ「Company(企業)」「Customers(顧客)」「Competitors(競合他社)」を表す。
SWOT分析企業および組織の内部環境を評価することを主な目的としたフレームワーク。SWOTとはそれぞれ「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」を表す。
PEST分析外部環境を評価することを主な目的としたフレームワーク。PESTとはそれぞれ「政治(Political)」「経済(Economic)」「社会(Social)」「技術(Technological)」を表す。
KJ法情報やアイデアを整理し問題を解決することを主な目的としたフレームワーク。

実際に採用ブランディングを進める際は上記フレームワークを活用することで戦略に一貫性が生まれたり、新たなアイデアの想起につながったりするため、積極的に活用していきましょう。

3C分析

3C分析とは外部環境を分析することを主な目的としたフレームワークで、採用ブランディングを検討する際に役立てられます。

3Cとはそれぞれ「Company(企業)」「Customers(顧客)」「Competitors(競合他社)」を表します。

<3C分析の例>

まずは「Company(企業)」の現状について把握していきます。

自社の強みや弱みは何なのか、現在はどんな採用ブランディングを行っているのかを書き出していきましょう。

(例)

  • 強み:最新技術を取り入れたプロジェクトが多い
  • 弱み:大手企業に比べて認知されていない
  • 現状:「最新技術を駆使する集団」をコンセプトに技術ブログを運営中

つぎに「Competitors(競合他社)」は、どんな取り組みを行っているのか分析していきます。

(例)

  • 強み:海外プロジェクトが多く研修制度も充実している
  • 弱み:社員や働き方にフォーカスした情報がない
  • 現状:SNSやオウンドメディアを活用してプロジェクト事例を発信中

最後に「Customers(顧客)」つまり、採用したい人材のニーズや要望などについて分析していきましょう。

(例)

  • ターゲット:新しい技術を学びたい意欲のある人
  • ニーズ:ワークライフバランスを重視している、リモートワークの可否に関心がある、場所に縛られず働きたい人が多い

上記はあくまでも一例ですが、これらの分析結果をもとに自社の強みを活用する方法を考えたり、競合と差別化する方法を検討したりして、自社を魅力的にアピールするための採用ブランディング戦略を練っていきましょう。

SWOT分析

SWOT分析とは企業および組織の内部環境を評価することを主な目的としたフレームワークです。

採用ブランディングをする際には、自社の解像度を高めるフェーズなどで役立ちます。

SWOTとはそれぞれ「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」を表します。

<SWOT分析の例>

強み・弱み・機会・脅威という4つの観点から自社を振り返り、それぞれ深堀りしていきましょう。

まずは自社の「Strengths(強み)」とは何なのか書き出していきましょう。

採用ブランディングにおいて自社のプラスとなる事項を書き出していきます。

(例)

  • 強み:業界のリーディングカンパニーであること
  • 強み:豊富な研修プログラムを提供していること
  • 強み:フルリモートかつフレックスタイム制の導入による柔軟な働き方

つづいて「Weaknesses(弱み)」について書き出していきましょう。

採用ブランディングを妨げる可能性のある要素について書き出してみてください。

(例)

  • 弱み:大手企業に比べて市場での認知度が低い
  • 弱み:内定辞退率が高い(競合に負けている)
  • 弱み:採用に割けるリソースが不足している

次に「Opportunities(機会)」、自社を取り巻く外部の環境について分析していきましょう。

外部環境に目を向けて自社にとってプラスになりうる市場や競合などの状況・変化・動向について見ていきます。

(例)

  • 機会:AIやIoTなどの新技術の普及によりプロジェクトが増加中
  • 機会:若い世代の転職意欲が高まっている
  • 機会:リモートワークの普及により地理的制約なく採用できる

最後に自社の「Threats(脅威)」となるような外部環境について分析していきましょう。

(例)

  • 脅威:同業他社や新興企業との採用競争が激化している
  • 脅威:新技術の導入が遅れると競争力を失うリスクがある
  • 脅威:経済状況によって採用予算が制約を受ける可能性がある

上記はあくまでも一例ですが、これらの情報をもとにしてどのように採用ブランディングを打ち立てていくべきか検討してみてください。

PEST分析

PEST分析とは、外部環境を評価することを主な目的としたフレームワークで、採用ブランディングをする際にも役立ちます。

PESTとはそれぞれ「政治(Political)」「経済(Economic)」「社会(Social)」「技術(Technological)」を表します。

<PEST分析の例>

PEST分析は外部環境がどのように企業に影響を与えるのか、どんな機会をもたらすのか、どんな課題があるのかといった分析に役立ちます。

政治・経済・社会・技術という4つの要素で細分化して見ていきましょう。

(例)

政治政府によるIT分野への投資が増加、人材需要が高まる可能性あり
政治労働法の改正、柔軟な働き方の提供が求められる
経済経済の成長率が採用予算に影響を与える可能性がある
経済失業率の低下、人材確保が難しくなる
社会若い世代は社会的責任(CSR)や企業文化を重視する傾向にある
社会多様性を重視する社会的風潮が強まっている
技術ATSやAIを用いた採用ツールが普及している
技術リモートワークの普及によりインフラ整備が必須

上記一例はあくまで参考ですが、競争力のある採用ブランディングを展開できるようPEST分析を用いてみてください。

KJ法

KJ法とは、情報やアイデアを整理し問題を解決することを主な目的としたフレームワークです。

自社の採用ブランディングをどう展開していくべきかアイデア出しを行うときに活躍します。

<KJ法の一例>

まずは「IT企業A社の採用ブランディングを強化する方法」のようにテーマを設定しましょう。

テーマを設定したら、そのお題に沿って参加者全員でブレインストーミング(複数人で自由にアイデアを発想し合う)を行っていきます。

各アイデアはポストイットなどに記載してホワイトボードに貼るなど、視覚化できると整理されやすいためおすすめです。

(アイデア例)

  • 社内インタビュー動画の作成
  • 採用サイトのリニューアル
  • 社員による技術セミナー
  • メンターシッププログラムの導入
  • オンライン広告の強化

アイデアが出揃ったら近しいアイデアをグルーピングして整理整頓し、それぞれのアイデアの実現可能性や採用効果・コストなどについてディスカッションしていきましょう。

上記を参考に、採用チーム全員で採用ブランディングのアイデア出しを行ってみてください。

採用ブランディングの進め方

ここからは、採用ブランディングの具体的な進め方について紹介していきます。

これから採用ブランディングをしようと考えている方、すでに進めているけれど行き詰まってしまっている方はとくに、参考にしてみてください。

  1. 目的の明確化
  2. 自社分析・競合調査
  3. 採用ターゲット・ペルソナ設定
  4. 採用コンセプト設定
  5. 求職者体験の設計・戦略
  6. 具体的な発信ツールの選定
  7. 実行・効果分析・改善

それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

1.目的の明確化

採用ブランディングの第一歩は、自社で採用ブランディングを行う目的を明確にすること。

まずは「何のために行うのか」に対する答えを採用ブランディングを担う全員が共通認識として持てるよう言語化しましょう。

2.自社分析・競合調査

採用ブランディングを進める際には、自社の理解と競合調査は欠かせません。

まずは自社のミッションやビジョンといった根幹となる要素を再確認しながら、企業の魅力・強み・弱みなどを大小関わらず洗い出していきましょう。

自社を分析する際は頭のなかで考えるだけでなく、社員アンケートを取ってみる、社員に取材する時間を取るなど、実際に身体を動かしながらデータを収集していくことが大切です。

また自社の魅力を認識するためには競合調査も欠かせません。

競合にはどのような魅力や強み・弱みがあるのか、また採用市場や業界全体において自社と競合はそれぞれどんな立ち位置にいるのか、競合はどんなブランディングを行っているのかなど詳細に調査していきましょう。

3.採用ターゲット・ペルソナ設定

自社分析と競合分析が完了したら、採用ターゲットとペルソナ(求める人物像)を明確に設定しましょう。

企業には今どのような人材が必要なのか、どんな人材だと活躍できるのか、求めている人材はどんな価値観を持っていて、どんな志向性があるのか…と一人の人物像が浮かび上がるくらい詳細に突き詰めていきましょう。

4.採用コンセプト設定

採用ターゲット・ペルソナ設定が完了したら、採用コンセプトを決めましょう。

採用コンセプトとは、求職者に伝えるべきメッセージの核となる要素です。

コンセプトがブレてしまうと、その後の採用活動に悪影響を与えかねないため時間をかけてじっくり吟味していきましょう。

5.求職者の選考体験の設計・戦略

採用コンセプトが定まったら、求職者の選考体験の設計・戦略に移っていきましょう。

具体的には採用ブランディングを通して「どのような体験価値を求職者にもたらすのか」について考え、最適化していきます。

これまで行っていた入社までの一連のフローを振り返り、採用コンセプトに乖離する点はないか、ブラッシュアップできる点はないか検討していきましょう。

たとえば「カジュアル面談を取り入れた方が採用コンセプトの説得性が増して効果につながりそうだ」「リファレンスチェックをしていたけど必要ないかもしれない」といった具合に、選考フローから見ていくと改善点を発見しやすいためおすすめです。

6.具体的な発信ツールの選定

求職者の選考体験の設計・戦略が完了したら、採用ブランディングにおける情報発信をどのツールで行っていくのかを決めていきます。

オウンドメディアや採用ブログ、SNSなど発信ツールはさまざまにあり、特徴やリーチしやすい層が異なるため、企業にマッチしている手段を選んでいきましょう。

7.実行・効果分析・改善

採用ブランディングは、長期的かつ継続的に取り組んでいくものです。

そのため施策を実行したら定期的に効果測定を行って、新たな課題を発見し改善していきましょう。

アンケート集計、入社者へのヒアリング、口コミ収集、SNSでの反応などさまざまな手段を用いて分析し採用ブランディングに役立てていきます。

また時代の変化とともに採用市場や業界のあり方・人々の志向性も変わっていくため、その時々で適切な採用ブランディングを運用できるようにしておくことも大切です。

採用ブランディングの発信手段・ツール

採用ブランディングでよく活用される手段・ツールは以下4つ。

  • メディア(自社オウンドメディア・採用ブログなど)
  • 動画メディア(YouTubeなど)
  • SNS(X・TikTok・Instagram・Facebookなど)
  • イベント(セミナー・ミートアップ・説明会など)

成功を生み出す採用ブランディングを展開するためには、企業にとって適切な発信手段やツールの活用が不可欠です。

早速、取り入れていきましょう。

自社オウンドメディアや採用ブログ

企業が求める人材に対してメッセージを自由に発信しやすいツールが自社のオウンドメディアや採用ブログです。

採用情報の掲載はもちろん社員インタビュー記事や社内文化の定期発信も行えますし、デザイン的なカスタマイズもしやすいためブランドイメージの醸成にも一役買ってくれます。

YouTubeなどの動画メディア

YouTubeなどの動画メディアも採用ブランディングと相性が良いです。

動画では実際に社員が働いている様子や表情・声・雰囲気などが伝わりやすいため、企業の内面的な魅力を伝える際にとくに効果を発揮してくれます。

SNS(X/TikTok/Instagram/Facebookなど)

採用ブランディングの手段として、昨今ではSNSの活用が目立っています。

企業アカウントとして運用することもあれば、経営層や人事、採用担当者が実名でSNSアカウントを開設して情報発信やPRを行う事例もたびたび見られるほどです。

また情報発信をするだけでなくSNS上で気軽にコミュニケーションを取り合える点もメリットの一つで、気軽な交流機会を持つことは採用ブランディングにも寄与してくれるでしょう。

X(Twitter)の活用方法について詳しく知りたい方は、下記記事も合わせてご覧ください。

▼Twitter(現・X)での採用活動のメリットとは?運用のポイントや事例とあわせて紹介https://mag.core-scout.com/howto/20231204-5/

イベント

採用メッセージを直接、求職者に伝えやすいイベントも採用ブランディングには有効です。

企業説明会・転職系イベント・セミナーや勉強会・ミートアップなどで実際に会ったり話したりすることで、よりリアリティのある情報を伝えることができます。

また情報を伝えられるだけでなく求職者側からも感想を聞けたり、情報交換ができたりするので、採用ブランディングをより良く運用するヒントも得られるでしょう。

採用ブランディングの成功事例3選

採用ブランディングを効率的に進めるなら、自社と似たフェーズにある企業や近いコンセプト・価値観を持った企業の成功事例を真似ることも方法の一つです。

ここでは、株式会社メルカリ・オタフクソース株式会社・株式会社サイバーエージェントの3社の採用ブランディング事例を紹介するので、自社の採用活動に取り入れられる事項があれば真似してみてください。

株式会社メルカリの採用ブランディング事例

フリマアプリ『メルカリ』を運営する株式会社メルカリでは、採用ブランディングの核としてオウンドメディアを活用しています。

『mercan』というオウンドメディアを運用しており、当メディアのミッションは『「メルカリグループではたらく人」を発信し、社内外に「メルカリらしさ」を認知してもらう』こと。

認知を重要視していることから、メルカリで働きたいと考えている読者、メルカリに興味を持っている読者、メルカリを知らない読者など、どんな読者が読んだとしても価値ある情報を届けられるよう、HR部門だけでなく経営陣・現場社員の全員が積極的にコミットして取り組んでいます。

また記事はもちろん、Youtube動画を掲載したりライブ配信を行ったりとメディアを基盤にさまざまな形式で発信している点も認知拡大に大きく貢献しているでしょう。

結果的に採用ブランディングを目的とした『mercan』は過去5年間で総PV数7,851,523を記録しています。

会社らしさをブランディングしたいと考えている方はとくに同社の事例を参考にオウンドメディアの活用をしてみてください。

参考:d’s JOURNAL「『読者は何を知りたいのか』を考え抜く。メルカリ採用ブランディングのメソッド」

参考:mercan「【メルカン5周年記念】5年間で最も読まれた記事は…? #メルカリな日々」

オタフクソース株式会社の採用ブランディング事例

お好み焼き用ソースで有名なオタフクソース株式会社では「求職者から選ばれる採用ブランディング」をポイントに、オタフクらしさを形式知化する取り組みを行いました。

具体的には、改めて「オタフクらしさとは何か」という企業ならではの価値をディスカッションし、入社してほしい人物像をより明確にできるようブラッシュアップを実施。

企業価値の明確化においては、経営陣に想いやビジョンのヒアリングを行ったり、工場見学など現場に赴いてカルチャーや事業モデルへの理解を深めたりと足を動かして生きた情報をキャッチアップしていきます。

求める人物像においては、入社するうえで欠かせない必須要件・どんな人にも求める基本要素・これから必要になる専門性といった項目ごとに細分化して言語化していきます。

そうして明らかになった価値や求める人物像などの情報をもとに新たな採用コンセプトを設定し、採用サイトのキービジュアルを改善。

くわえて求職者が働くイメージを持てるようインタビュー記事を作成したり、採用サイトを見つづけてもらえるようリアルな声を届ける『オタスクープ』というコンテンツを配信したりとさまざまな仕掛けづくりを行っています。

どれだけ有名な商品・サービスを生み出している会社であっても、会社の想いを理解してもらうための情報発信や入社意向度を高めるための活動に終わりはありません。

これから採用ブランディングをスタートさせる方は、そもそも「会社らしさとは何なのか」そして「どんな人に入社してもらいたいのか」を同社の事例を参考にじっくり検討してみると良いでしょう。

参考:iDa「オタフクソース 採用ブランディング」

株式会社サイバーエージェントの採用ブランディング事例

ITやWebを軸にさまざまなサービスを展開する株式会社サイバーエージェントでは、求職者の本音や実態を知ることに重きをおいて採用ブランディングを行っています。

具体的には「市場から見たサイバーエージェント」「応募者がサイバーエージェントに抱く印象」「競合他社をどのように見ているか」などあらゆる観点からリサーチを行い、求職者はどんなことを感じているのか、伝えたいメッセージは求職者に届いているのかどうかを分析しながらブランディングに落とし込んでいきます。

リサーチ結果をもとに従来の優秀層が腕試しをしたいと思うようなブランディングから「すごい会社を作ろう」というテーマで、多様性や事業規模の大きさを見せるメッセージへ方向転換したところ、応募数が2年で約2倍に増加しました。

当事例を見ると、企業そのものの価値を知ることは大事ですが、そもそも求職者から会社はどのように見えているのか、他社と比較したときはどう思われるのか、と外側に立って企業を見つめ直すことでより採用効果を高めるブランディングができることが分かります。

当事例を参考に、まずはリサーチから採用ブランディングをスタートしてみるのも良いでしょう。

参考:RECCOO「サイバーエージェントの新卒採用戦略に迫る|成功を支えるリサーチの重要性」

エンジニア採用ならcore scoutにご相談ください

採用競争が活発な昨今では、採用ブランディングをして企業自体の採用力を高める取り組みは欠かせません。

なかでもエンジニアをはじめとしたIT人材不足は深刻な状況にあるため、採用ブランディングを進めながら通常の採用活動も平行して行っていきましょう。

もし採用ブランディングにかける工数が十分でない場合は、エンジニア採用に特化したダイレクトソーシング代行サービスである「core scout(コアスカウト)」にぜひご相談ください。

「core scout」では、戦略立案から実行支援〜改善施策までエンジニア採用のプロが運用を担い、企業にとって必要な人材を採用できるようエンジニア採用のパートナーとして伴走していきます。

【これまでの実績(一例)】

  • 採用実績:平均200%増
  • 送信数 :平均320%増
  • 返信数 :平均380%増

スカウトメールの豊富なナレッジや他社事例を踏まえながら企業にとって適切なPDCAサイクルをまわして、採用力を向上できるようご支援していくので、少しでも興味をお持ちの方は下記サービス紹介ページからお気軽にお問い合わせください。

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